「弁護士」と聞くと、刑事事件で「異議あり!」などと言っていたり、法廷で裁判官の前に出ながら話をしたり、小難しい法律用語を使って論破してきたり、、、といったイメージを連想する方も多いのではないでしょうか。それらはおそらくテレビなどの影響かと思います(先ほどの例は「逆転裁判」、「リーガルハイ」から拝借しました)。
それらのイメージが間違っているというわけではありませんが、それらのイメージはあくまで弁護士の仕事のごく一部を映したものにすぎません。
そこで、弁護士に依頼する場合に弁護士がどのようなことをやってくれるのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかを以下に大雑把にまとめてみましたので、参考程度にご覧ください。
弁護士の仕事内容
①争いや問題が起きないようにする活動
例えば、(a)契約書や広告等の内容をチェックして今後の問題が起きないような内容にしたり、問題が起きても対処できるような内容にする、(b)遺言書を作って相続人間での争いが起きないようにする、(c)事業などを進める際に、問題が発生しないように戦略を組む、などがこれに当たります。
特に(a)や(c)のようなケースでは、各業界の暗黙のルールなどを把握していないと難しい時がありますが、そのような場合には、その業界の方と協力して行うということもあります。
②争いや問題に対処する活動
実際に争いや問題が発生した際に、それを解決するために行う活動です。
例えば、(a)相手方と示談交渉を行う、(b)相手方や役所、裁判所に対して文書を送る、(c)裁判や調停を行う、などです。
争いや問題が生じた場合の事件の進み方としては、大きく分けて(ア)話し合い(いわゆる和解・示談交渉)、(イ)調停、(ウ)訴訟という3段階があります。この3段階のうちのどの段階から始めても構いません。また、この(ア)~(ウ)の各段階において弁護士を付けるか付けないかの選択があります。例えば、ひと先ずは自分で話し合いをしてみて、自分で話をするのでは決着しそうにないという時点で弁護士を付けて、弁護士と相手方で話し合いをしてもらうケース、自分で話し合いをしてみた上で、話し合いでは解決できそうにない場合には弁護士を付けて調停や訴訟を行うというケース、相手方は話の分かる人ではないからいきなり訴訟にするが、ひとまずは自分で訴訟をやってみて、無理そうだなと思った段階で弁護士を付けて訴訟を引き継いでもらうケースや相手方と話をするのも嫌だから初めから弁護士に入ってもらって話し合いから始めるケースなど、様々なバリエーションがあります。したがって、何か問題が発生した場合には、まずは上記(ア)~(ウ)のどこから始めるのかを決めた上で、そもそも弁護士を付けるのか付けないのか、弁護士を付けるのであればどの段階から付けるのかを決めて頂く方がよいでしょう。
とはいえ、そのような判断をご自身で行うこと自体が難しいという場合もあります。そのような場合には、どうすればよいのか分からない、ということで法律事務所にご相談に行かれるとよいと思います。
当事務所では、どのような内容の相談でも受け付けております。事件をどのように進めたらよいのか分からないので教えて欲しい、そもそもどのような進め方があるのか分からない、という相談ももちろん受け付けておりますのでお気軽にご相談下さい。
中には、相談に行ったけど依頼しないというのはダメなのではないか、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、弁護士を付けなくても解決できるのであればそれが最も良いことである、というのが私の考えです。ご相談に来られた結果、弁護士を付けなくても解決できそうであるということであればそれはそれで構わないと思っています。
弁護士を付けることのメリット・デメリット
①争いが起きないようにする活動について
メリット:法的な裏付けができるため、争いや問題が発生する可能性が低くなる。仮に争いや問題が発生しても解決しやすく、また、その後の処理を弁護士に任せやすい(∵弁護士が契約等の内容を把握しているため)。広告等については信用性が増す。等
デメリット:弁護士費用が発生する。内容によっては契約等が成立しにくくなる場合がある。等
とはいえ、弁護士を付ける、すなわち、弁護士に正式に依頼しなくとも、弁護士に助言をもらうだけとすることによって契約条項を整備することは可能ですので、正式に依頼することのメリットのうちの大きなところは信用性の確保やその後の処理の点にあるかと思います。また、弁護士費用については経費とすることができたり、契約内容についてはある程度柔軟に対応することができますので、大きなデメリットにはなりにくいのかもしれません。
②争いや問題に対処する活動について
メリット:問題解決へ向けて進めることができる。相手方の言いなりになってしまうことを避けることができる。等
デメリット:喧嘩を売る形になってしまう。弁護士費用が掛かる。等
特にデメリットのうちの「喧嘩を売る形になってしまう」という点については、相手方が自身の親族、隣人や雇用主であるような場合には深刻なデメリットとなると思いますので、その点はよく考えて依頼する方がよいでしょう。とはいえ、弁護士などを付けずにやっていては話が一向に進まない、という場合には、問題を解決するためには弁護士を付けるか、調停や訴訟を行って裁判所に関与してもらうなどの方法によって第三者に介入してもらうほかありません。どこかでは決断をしなければならないと思いますが、上記のメリット・デメリットをよく考えて、弁護士に介入してもらうのか、とりあえずは裁判所に介入してもらって、それでもダメな場合に初めて弁護士にも入ってもらうのか、など、慎重に判断することが大切であると思います。
上記のメリット・デメリットはあくまで一般論であり、ケースによってメリット・デメリットは様々です。あくまで参考程度にご覧いただけますと幸いです。
弁護士に依頼するというのは人生で一度あるかないかの大事な買い物のようなものです。相談先の弁護士ともよく話し合った上で、依頼するか否かを決めるのがよいと思います。
ちなみに私は、逆転裁判では御剣怜侍、リーガルハイでは古美門が好きです。
(文責:弁護士 佐藤)
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