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離婚したい

ブログサムネ
弁護士が扱う事件で最も多いのが離婚事件です。離婚事件と同程度に多いのが相続関係の事件(遺産分割、遺言など)で、次に多いのが労働事件や不動産に関する事件だと思います。
結婚に関する相談はほとんどありません。その意味では、結婚相談所ならぬ、離婚相談所とも言えるでしょう。

離婚する時は様々な点を決めなければなりません。
基本的な事項としては、①子どもの親権、②養育費、③子どもとの面会交流、④財産分与、⑤慰謝料が挙げられます。
①については、これが決まらないと離婚ができませんので、離婚する場合は親権の問題も必然的にセットになります。
他方で、②以下のものについてはこれらの事項を決めなくとも離婚をすることはできますので、離婚した後に請求することも可能です。ただし、財産分与については離婚してから2年以内に請求しないと時効により消滅してしまいますし、慰謝料の請求についても離婚原因が発覚してから3年以内、又は離婚原因である行為が終了してから20年以内に請求しないと時効により消滅してしまいますので注意が必要です。なお、時効については例外がありますので、詳しくはお問い合わせください。

離婚する時に養育費などを決めなかったがために、養育費の請求ができないと思い込んでしまって泣き寝入りしている方の話をよく耳にします。養育費の請求ができることは分かっているけれど、元旦那(又は妻)からの資金的な援助がなくとも十分に育てていくという覚悟と相応の準備があるのであれば養育費の請求を行わないということも一つの選択だと思います。しかし、そうではない場合は、基本的に養育費の請求を勝手に諦めるべきではないだろうと思います。
「勝手に」とあえて述べたことには理由があります。というのも、養育費の請求というのは離婚後も子どもを育てていく方の親(以下では、「養育親」とします。)の権利として請求するのではなく、離婚後は子どもを育てない方の親(以下では、「非養育親」とします。)に対する子どもの権利を養育親が代理して請求しているに過ぎないからです。子どもには親に養育してもらう権利がありますし、その反面として親は結婚していようが離婚していようが自身の子を養育する義務があります。このような子の権利として、また、親の義務として養育費の請求を行うわけですから、養育費の請求を行わないケースというというのは、基本的には、養育費の請求を行うことがかえって子どもにとって悪影響を及ぼし得るような場合や、養育費の請求を行わなくとも経済的に苦労しないことを保証できるような場合に限られるでしょう(もちろん例外はありますが)。

昨今の日本では、離婚することも人生の選択のうちの一つに過ぎないという風潮を感じます。未成年の子がいない夫婦に関してはそのような風潮も理解はできますが、未成年の子がいる場合にはあまり賛同できません。もちろん、DVなどの特殊な事例は別ですが、未成年の子がいる家庭においては離婚する場合の子どもへの影響を無視してはいけないでしょう。
子どもにとっては、両親の仲が悪いことそれ自体が虐待である、と私は思います(これは物語シリーズというアニメの中で出てくるセリフでもあります。)。子どもができたら親の人生はすべて子どものためにあるべき、とまでは思いませんが、「子どもにとっては、両親の仲が悪いことそれ自体が虐待である」ということは意識しておくべきだと思いますし、離婚するという選択をするのであれば相応の責任を果たすべきだと思います。
子どもを養育することの意味と責任、そして、離婚することとなった際の子どもへの影響をよく考えて、責任ある行動を取るということを意識することが紛争予防に繋がるのではないかと思いました。

                                                       文責:弁護士 佐藤

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